NMR今後の活動報告
第4弾
禁断!?ワクチンについての陰謀論をまとめてみたでござる!

薫殿、今回我々NMRが調査するのは、ワクチン、中でも新型コロナワクチンをめぐって世界中に広がった陰謀論や都市伝説でござる。

最初にはっきり申し上げておくが、今回は「ワクチンは絶対に安全でござる」と断言する企画でもなければ、「政府は何かを隠しているでござる」と煽る企画でもない。
接種するべきか、接種しないべきかをNMRが決めるものでもない。
新型コロナワクチンをめぐって、どのような噂が生まれ、なぜ多くの人が信じ、途中からどれほど話が巨大になっていったのか。
それを調べてみたいのでござる。

新型コロナワクチンをめぐっては、副反応への不安、短期間で実用化されたことへの戸惑い、mRNAという聞き慣れない技術、政府や製薬会社に対する不信感など、さまざまな疑問が生まれた。
そして疑問が生まれれば、そこに説明が入ってくる。
正しい説明が入ることもあれば、間違った説明が入ることもある。
時には、説明より先に宇宙人や秘密結社が入ってくるのでござる。

我々はここで、誤解を恐れずはっきり申し上げたい。
火のないところに煙は立たぬと言うが、インターネットでは火がなくても煙だけ立てることができるのでござる。
しかも、その煙を見た別の者が「火事だ」と叫び、さらに別の者が「放火したのは政府だ」と言い始め、最終的には「政府の上にいる爬虫類型宇宙人が火をつけた」というところまで行く。
煙ひとつに登場人物が多すぎるのでござる。

新型コロナワクチンにまつわる陰謀論として、最も有名なのが「ワクチンの中にはマイクロチップが入っている」という説でござる。
接種した人間を政府が追跡し、5Gの電波を使って行動や思考まで管理するというのである。
さらに話が進むと、接種した人間がBluetooth機器として認識され、スマートフォンの設定画面に謎の番号が表示されるという説まで現れた。

しかし薫殿、現代人はすでに位置情報を持ったスマートフォンを自分で購入し、顔認証を登録し、毎日充電して持ち歩いているのでござる。
それなのに、政府が注射針を通るほど小さな追跡装置を秘密裏に開発し、世界中の人間へ無料で配る必要があるでござろうか。
陰謀としては費用対効果が悪すぎるのでござる。
公表された新型コロナワクチンの成分に追跡用マイクロチップは含まれておらず、FDAもマイクロチップを含むという説を否定している。

接種した腕にスプーンや硬貨がくっつく映像も数多く投稿されたでござる。
「ワクチンによって人体が磁石になった証拠だ」というのである。
だが、汗や皮脂があれば、スプーンは接種していない腕や胸や腹にもくっつく。
腹にスプーンがくっついたからといって、腹部に政府の秘密基地が完成したとは限らぬのでござる。
もし本当に磁石になったのであれば、冷蔵庫へ近づいた時点で分かるはずである。

続いて「mRNAワクチンによって人間のDNAが書き換えられる」という説でござる。
接種を受けた者は遺伝子組換え人間となり、将来的には別の生物へ変化するという話まであった。
しかし、mRNAは細胞にウイルスのタンパク質を作るための情報を一時的に伝えるもので、人間のDNAに干渉するものではないと説明されている。

つまり、接種した翌朝に目が赤く光ったり、背中から翼が生えたり、急に水中で呼吸できるようになったりする仕組みではない。
もし翼が生えた者がいるならば、それはワクチン問題ではなく、未確認生物問題である。
我々NMRに連絡してほしいでござる。
すぐに第五弾として調査する。

「ワクチンには酸化グラフェンが入っている」「体内でナノマシンが組み立てられる」「血管の中に正体不明の回路が作られる」という説も広がったでござる。
顕微鏡で撮影したとされる謎の画像が出回り、それを見た者たちが「これは人工物だ」「アンテナだ」「いや、宇宙船の部品だ」と次々に解釈を加えていった。

だが薫殿、顕微鏡で見ても正体が分からないものを、なぜインターネットの画像だけで宇宙技術だと断定できるのでござろうか。
「何か分からない」ということは、「ナノマシンである」という意味ではない。
「道に落ちている黒い物体の正体が分からない。よって忍者である」と申しているようなものでござる。
分からないものを、もっと分からないもので説明しているのでござる。

「ワクチンを接種すると不妊になる」という説も広く流れた。
さらに「接種した者の近くにいるだけで月経に異常が起きる」「接種者の体から何かが放出され、未接種者にも影響を与える」という、いわゆるワクチン・シェディング説も現れた。

しかし、新型コロナワクチンが男女の不妊を引き起こすことを示す根拠は確認されていない。
WHOやCDCも、妊娠する能力を損なうという証拠はないとしている。
また、新型コロナのmRNAワクチンには生きたウイルスが含まれておらず、接種者から周囲へワクチン成分が感染のように広がるという仕組みでもない。

だが、ここから陰謀論はさらに大きくなるのでござる。

マイクロチップ、5G、磁石、DNA、ナノマシン、不妊。
これらの説をすべて一つに束ねた先に現れるのが、「世界の人口を意図的に減らそうとしている悪の枢軸が存在する」という人類削減計画説でござる。

この説によれば、各国政府、巨大製薬会社、国際機関、世界的な富豪、経済界の重鎮、マスコミ、科学者などが裏で手を組み、新型コロナの混乱とワクチンを利用して、世界の人口を減らそうとしているのだという。
誰が悪の枢軸に所属しているのかは、語る者によって変わる。
ある話では政府が中心となり、別の話では製薬会社が中心となる。
さらに別の話では、その両方を世界的な富豪が操り、その富豪をもっと上にいる秘密結社が操り、その秘密結社を爬虫類型宇宙人が操っている。

上司が多すぎるのでござる。

この人類削減計画説では、ワクチンには寿命を縮める仕組みや、不妊にさせる成分が密かに組み込まれており、数年後には接種者が次々と倒れることになっているらしい。
そして生き残った少数の人間にはデジタルIDが与えられ、財産、行動、食事、移動、発言などが管理され、最終的には悪の枢軸が世界を完全に支配するというのでござる。

WHOが行っている情報動向の調査でも、ワクチンを使って特定の地域や民族の人口を減らそうとしているという説が、実際に繰り返し流布されていることが報告されている。
つまり、人類削減説が真実だということではなく、そのような説が国や地域を越えて広がっていること自体は事実なのでござる。

薫殿、仮に悪の枢軸が本当に存在し、人間の数を減らそうとしていたとしよう。
しかし、医療従事者、研究者、公務員、会社員など、社会を実際に動かしている人々から先に接種させて減らしてしまったら、その後の世界を誰が運営するのでござろうか。
病院を動かす者も、電気を直す者も、税金を集める者もいなくなってしまう。
世界を支配する前に、ごみの日が分からなくなるのでござる。

また、この計画を実行するためには、世界中の政府、製薬会社、研究機関、病院、運送会社、接種会場、報道機関などに関わる膨大な人数が、誰一人として決定的な証拠を持ち出さず、完全に口裏を合わせ続ける必要がある。
町内会の夏祭りですら意見がまとまらないのに、世界中の人間が人類削減という一つの目的で団結できるでござろうか。
悪の枢軸は、我々が思っている以上に会議が上手いのでござる。

ただし、ここで勘違いしてはならぬ。
政府や製薬会社を信用しないこと自体が、ただちに陰謀論になるわけではない。
製薬会社が利益を得ること、政策判断に誤りが起こること、説明が不十分で不信感を招くこと、接種後に体調を崩した人が存在することは、それぞれ別に検証されるべき問題でござる。

そして、新型コロナワクチンに副反応やリスクが一切ない、ということでもない。
接種部位の痛み、発熱、頭痛、倦怠感などが起こることがあり、mRNAワクチンでは心筋炎や心膜炎が非常にまれに確認され、特に若い男性で比較的多い傾向が報告されている。
また、過去に使用された一部のウイルスベクターワクチンでは、血小板減少を伴う血栓症が非常にまれな副反応として認められた。
安全性の監視や検証は、接種開始後も継続して行われている。

接種後に死亡や重い症状が報告された、という話もある。
ここで重要なのは「接種した後に起きたこと」と「接種が原因で起きたこと」は、同じではないという点でござる。
接種後に起きた出来事は幅広く報告し、その後に専門家が因果関係を検討する。
報告が存在することだけで原因が確定するわけではない。
一方で、報告された人の苦しみを「全部気のせい」「全部陰謀論」と片づけることも、また違うのでござる。

日本でも副反応疑い報告や死亡報告、心筋炎・心膜炎などの評価は続けられている。
厚生労働省の2026年の審議会では、その時点の評価として安全性に重大な懸念は認められないとされる一方、報告体制の不備についても確認と改善が進められている。
疑問があるから調査するのであって、調査しているから直ちに巨大な陰謀があるということではないのでござる。

疑問を持つことは大切でござる。
「自分の年齢では利益とリスクのどちらが大きいのか」「持病がある場合はどうなのか」「副反応が起きたら、どこへ相談すればよいのか」と考えることは陰謀論ではない。

問題は、分からない部分をマイクロチップ、5G、ナノマシン、秘密結社、人口削減計画で埋め、最後に「すべてがつながった」と申すことである。

つながったのではない。

離れたものを、赤い毛糸で無理やり結んだのでござる。

我々NMRは今後、新型コロナワクチンにまつわる陰謀論が、いつ、どこで生まれ、誰によって広げられ、どの段階で話が巨大化したのかを調査する予定でござる。
切り取られた発言、出所不明の画像、意味の違う数字、外国語からの誤訳、専門家を名乗る謎の人物などを追いかけ、マイクロチップから人類削減計画へ至るまでの道のりを明らかにしたいのでござる。

接種するかどうかの判断は、年齢、健康状態、ワクチンの種類、感染状況などによって変わり得るため、NMRではなく、最新の公的情報や医療機関へ確認してほしいでござる。
我々が調査できるのは、医学的な診断ではなく、陰謀論の中に何人の宇宙人が参加しているかまでである。

もし薫殿が「世界人口削減計画」と書かれた悪の枢軸の会議に招待されたならば、まずは議事録を見せてもらってほしい。

そこで「この会議の内容は絶対に漏らすな」と言われたにもかかわらず、参加者全員がスマートフォンで生配信していたら、それは悪の枢軸ではなく、ただの陰謀論者オフ会かもしれぬでござる。

戻る

Back to top