
EP0 NMRの夜明け
1983年5月6日

アメリカ・ネバダ州エリア51地下第七研究区画にて誕生。
誕生と同時に施設内の全電子機器が停止し、世界各地の観測施設で謎の電波が受信された。
その電波を解析すると、次の一文だけが残されていた。
「この子を守れ。人類最後の盾となる。」
父親、母親ともに正体は不明。
父は地球外生命体、母は未来から来た時間工作員など様々な説が存在するが、現在も機密指定されている。
誕生直後、国際秘密機関によって日本へ極秘移送された。
公的記録では「大阪府豊中市生まれ」とされているが、NMRでは身元を隠すために作られた偽装戸籍と結論づけている。
1984年

大阪府豊中市のセーフハウスで育成が始まる。
表向きは母子家庭だったが、実際には女性エージェント「M」による英才教育が行われていた。
砂場遊びは地形解析訓練。
かくれんぼは潜伏訓練。
鬼ごっこは追跡回避訓練。
昼寝は敵を油断させるための擬装睡眠。
エージェントMは近所から「優しいお母さん」と呼ばれていたが、それも任務の一環だったと考えられる。
1986年

初めて未来予知能力が確認される。
夕食中、突然「来る」と発言。
その数秒後、テーブルのコップが倒れた。
エージェントMは偶然だと説明したが、NMRではこれを能力覚醒の最初の記録としている。
1989年

南極市立ハビタブルゾーン小学校へ入学。
日本唯一の南極公立小学校。
校庭には二宮金次郎像、ウサギ小屋、朝礼台が設置されており、校舎だけ見れば普通の日本の小学校だった。
違うのは、窓の外をペンギンが歩いていることだけである。
朝礼では「ブリザードのため校庭使用禁止」と放送されることも珍しくなかった。
給食はカレー、揚げパン、ソフト麺など一般的な献立だったが、冷凍みかんだけは外へ置くだけで完成した。
公的記録では大阪市内の小学校へ通学していたことになっているが、これは南極基地の存在を秘匿するための工作である。
1990年

下校中、未確認飛行物体によって拉致される。
一般的なアブダクションとは異なり、宇宙人は肉太郎の脳へダークマターを埋め込み、そのまま地上へ帰還させた。
この日を境に、IQは一億を突破。
数学、物理学、医学、考古学など、あらゆる分野を瞬時に理解する能力を得る。
さらに、一年先の給食献立を予測し、未来の出来事を断片的に視認できるようになった。
身体能力も飛躍的に向上したが、本人は一度も本気を見せることはなかった。
世界最強の小学生が存在すると知られれば、各国政府が動き、歴史そのものが変わってしまうためである。
以後、テストでは数問だけ間違え、運動会でもわずかに速度を落とし、「少しだけできる普通の小学生」を演じ続けた。
世界を守る最初の任務は、「目立たないこと」だった。
1991年

能力を隠しながら学校生活を送る日々が始まる。
徒競走では一位にならないよう、ゴール直前で減速。
図工や習字も、目立たない程度の出来栄えに仕上げていた。
NMRでは、この活動を「第一次凡人化計画」と呼んでいる。
1992年

世界各地で発生した未確認飛行物体を、能力を使って密かに監視。
肉太郎は当時すでに、UFOには地球調査班、観光班、迷子班の三種類が存在することを突き止めていた。
しかし、この事実は混乱を避けるため公表しなかった。
1993年

エリア51時代の極秘資料が暗号通信で送られてくる。
その中には「1999年7月、人類滅亡」という予測が記されていた。
肉太郎は未来予知能力を使って調査を開始。
人類を滅ぼす存在の正体が、未来からやって来る皇帝「アンゴルモア13世」であることを知る。
1994年

アンゴルモア13世について極秘調査を開始。
その正体は、西暦6666年を支配する未来皇帝だった。
歴史を改変するため、1999年へ時間移動し、人類文明そのものを書き換える計画を進めていることを突き止める。
肉太郎はこの情報を各方面へ伝えようとしたが、誰一人として信じなかった。
ノストラダムスだけは、それを詩として後世へ残すことに成功した。
1995年

決戦に備え、秘密基地「LABO」の建設を開始。
表向きは自宅の自室だったが、肉太郎にとっては人類防衛司令部だった。
部屋には世界地図、都市伝説資料、宇宙人との交信記録、カップラーメンが並べられ、24時間体制で世界の監視が行われた。
1996年

ダークマター能力がさらに進化。
人工衛星を使わず世界中を監視できるようになる。
テレビの砂嵐から未来の映像を受信。
ラジオのノイズから宇宙人との通信にも成功した。
この頃から睡眠時間は一日三時間以下になったという。
1997年

アンゴルモア13世が日本国内へ潜伏していることを確認。
しかし、その姿は一般人には見えない高次元生命体だった。
肉太郎だけが、その存在を認識できた。
以後、各地で起きた不可解な事件は、すべてアンゴルモア13世による歴史改変実験だったとNMRでは考えている。
1998年

最終決戦まで一年。
肉太郎は能力を限界まで高めるため、毎日ダークマターとの同期訓練を続けた。
脳内演算速度は毎秒一京回を超え、未来予知の精度も大幅に向上。
しかし、その代償として身体への負担も増え始める。
エージェントMは任務の中止を勧めたが、肉太郎は首を横に振った。
「ここで止まれば、人類に未来はない」
そう言い残し、最後の準備へ入った。