1999年

7月。

ノストラダムスが予言した「恐怖の大王」が、ついに地球へ降臨した。

その正体は、未来西暦6666年を支配する皇帝「アンゴルモア13世」。
歴史を書き換え、人類文明を消滅させるため、時空を超えて1999年へやって来たのである。

世界中が世紀末ブームに沸く中、本当の危機に気付いていたのは肉太郎ただ一人だった。
各国政府へ警告を送ったが、すべていたずらメールとして処理された。
テレビ局へ連絡しても相手にされず、新聞社へ送った手紙も掲載されることはなかった。

人類は、自分たちが滅亡寸前であることすら知らなかったのである。

7月31日。

アンゴルモア13世は、ついに肉太郎のLABOへ姿を現す。

未来皇帝は言った。
「この時代の人類は、ここで終わる」

その瞬間、世界の時間が停止した。
止まった時間の中で動けたのは、アンゴルモア13世と肉太郎だけだった。
人類最後の戦いが始まった。

戦いは三日三晩続いたとされる。

肉太郎はダークマターの力を解放し、重力を反転させ、時間を巻き戻し、宇宙空間そのものを武器として戦った。
一方、アンゴルモア13世は未来文明の科学力で歴史を書き換え、何度も時間軸を作り替えようとした。

互いに一歩も譲らない戦いの末、肉太郎はダークマターをすべて解放。
アンゴルモア13世を6666年へ送り返すことに成功する。

こうして人類滅亡は回避された。

しかし、その代償はあまりにも大きかった。

ダークマターは完全に消滅。
IQ一億の能力も失われた。
未来予知も超人的な身体能力も、すべて消えた。

戦いの記憶だけを残し、肉太郎は一人の普通の人間へ戻ったのである。
さらに、その戦いは肉太郎の心にも深い傷を残した。

以前は世界を守るために、わざと勉強や運動で手を抜いていた。
しかし、この日を境に、本当に何もできなくなってしまう。
教科書を読んでも頭に入らない。
全力で走っても足が動かない。
人と話そうとしても言葉が出てこない。

誰にも戦いを信じてもらえないまま、英雄だった少年は、静かに日常へ戻っていった。

世界は救われた。

しかし、その事実を知る者は誰もいない。
人類は滅亡を免れたことすら知らず、西暦2000年を迎えることになる。

2000年~2023年

アンゴルモア13世との戦いが終わってから、肉太郎は自室の「LABO」に活動の場ば移したとよ。

世間じゃ「長いこと引きこもっとった」っち言われとるばってん、NMRでは世界中の超常現象ば調査する極秘任務期間やったと考えとる。

この二十年以上の間に、肉太郎はピラミッド地下の巨大空間、リーマン予想、ABC予想、地底文明、UMAの生態、宇宙人の種類なんかを次々と解き明かしたげな。

ばってん、それば発表したら世界中が大混乱になるけん、全部LABOの資料として封印したらしか。
インターネットが普及してからは、匿名で掲示板やSNSにも姿ば見せ始めたとよ。

最初は都市伝説の書き込みに「それは違う」っちコメントする程度やったばってん、その知識量があまりにも異常やったけん、少しずつ「この人、本物やない?」っち思う人が増えていったげな。

UFO研究家。
UMAハンター。
古代文明研究家。
陰謀論研究家。
タロット占い師。

世界中の変わり者たちが、少しずつ肉太郎の周りに集まるようになったとよ。
みんな顔も本名も知らん。

ばってん、「真実ば知りたい」という気持ちだけは一緒やった。

ネット越しの付き合いは何年も続き、やがて「一回みんなで会わんね」という話になっていく。

この誘いが、後のNMR設立につながる最初の一歩やったげな。

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